さしもくさ



さしもくさ あや野々里の 錦木は 今日打染る 菊花哉【原文】
さしもくさ あや野の 里の 錦木は 今日打ち染める 菊の花かな
(さしもくさあやののさとのにしきぎはきょううちそめるきくのはなかな)

綾野は大垣の西方にあり伊吹の方への旅の通過地であったのでしょう。綾野の里では、菊で作った錦木に燃える思いを寄せ、あなたに打ち焦がれている男がいますよと粋な詩です。
「さしもくさ」は伊吹山で採れる蓬(よもぎ)の別名ですが、和歌では、下の用例のように、もぐさの名産地の伊吹・伊吹の山に続けて用い、同音の「さしも(=それほどにも)」を導くことが多い。「かくとだに えやはいぶきの さしもぐさ さしもしらじな もゆるおもひを」は現代意訳では「これほどまで、あなたを思っているということさえ打ち明けることができずにいるのですから、ましてや伊吹山のさしも草が燃えるように、私の思いもこんなに激しく燃えているとは、あなたは決して知らないことでしょう」、「錦木」は男が恋する女に逢おうとするとき、その門に立てる五色に彩った木の意もあります。<引用した和歌は出来る限り原文のままとしましたが、常用漢字、現代カナ遣いを用い、解釈は多くの研究資料を参考にしました>

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